通信制高校は、自分のペースで学べる自由度の高い学習スタイルが魅力です。しかしその一方で、卒業後に進路が定まらず、ニートや引きこもりになるリスクを心配する声も少なくありません。
特に通信制高校の生徒は、不登校経験や人間関係のトラブル、学習の遅れといった課題を抱えている場合もあり、卒業後の支援や自己理解が重要になります。
この記事では、通信制高校卒業後にニートや引きこもりを防ぐための具体的な進路対策について、進学・就職の両面から解説します。
なぜ通信制高校卒業後に進路が定まらないのか?
以下のような要因が、通信制高校生の進路未決定に影響することがあります:
- 高校在学中に将来の目標を持てなかった
- 周囲と比べて自信を失ってしまった
- サポート体制が弱く、情報不足になっていた
- 不安が強く、就職・進学に踏み出せなかった
通信制高校では時間的な自由がある分、「自分で動かなければ何も決まらない」という現実があります。
卒業後の“空白期間”を作らないためにできること
卒業後に何もしない期間が続くと、本人の自信や社会性がさらに低下してしまうことがあります。そうならないための予防策を以下にまとめました。
① 進路相談を早めに始める
3年生になってからではなく、1〜2年生のうちに進路の方向性を考え始めるのが理想です。学校の先生や進路指導担当、外部支援団体に相談して情報を得ましょう。
② オープンキャンパスや職場見学に参加する
リアルな現場を知ることで「進学したい」「働いてみたい」という気持ちが湧きやすくなります。通信制の自由な時間を活かして、積極的に参加しましょう。
③ アルバイトやボランティアで社会経験を積む
「働く」感覚を身につけておくことで、卒業後の就職のハードルが下がります。短時間のバイトでも、人と関わる経験は大きな力になります。
④ スモールステップで「できること」を増やす
進学も就職も不安な場合は、通信制卒業後にサポート機関や職業訓練校、若者支援施設に通うことも選択肢です。いきなり社会に出るのが難しくても、「通える場所」があるだけで安心できます。
進路が決まっていない生徒向けの支援サービス
以下のような機関では、通信制高校生やその卒業生を対象に、進路や就労支援を行っています。
- ハローワーク(新卒支援コーナー):就職相談、職業適性診断、求人紹介など
- 地域若者サポートステーション:15〜49歳の若年無業者を対象とした支援
- サポート校・就労移行支援施設:学び直しや社会生活の準備ができる
- 通信制高校内の進路ガイダンス:志望理由書の書き方、面接練習など
親や周囲の大人ができる支援とは
卒業後に不安を抱える生徒に対して、責めるのではなく「寄り添う姿勢」が大切です。親や支援者が以下のような対応を取ることで、本人の行動につながるケースもあります。
- 「何か手伝えることある?」と穏やかに聞いてみる
- 一緒に支援機関へ相談に行く
- 失敗を責めず、小さな成功を認める
まとめ
通信制高校を卒業したあと、何も決まらないまま時間が過ぎてしまうのは決して珍しいことではありません。しかし、早めの進路対策と小さな行動の積み重ねで、そのリスクを大きく下げることができます。
進学・就職・職業訓練など、進路は一つではありません。大切なのは、「今からでも動ける」「支援を受けてもいい」と本人が気づける環境づくり。迷ったときこそ、相談しやすい大人や制度を活用し、安心して一歩を踏み出しましょう。