通信制高校は、全国で数百校が運営されていますが、すべてが正式に「高等学校」として認可されているわけではありません。中には「サポート校」や「無認可スクール」も存在するため、入学時には文部科学省の認可を受けた学校かどうかを確認することが大切です。この記事では、通信制高校が文部科学省から認可を受けるための条件を、学校教育法の観点からわかりやすく解説します。
1. 文部科学省認可校と無認可校の違い
文科省に認可された通信制高校は、学校教育法第1条に基づく「高等学校」として正式に位置づけられています。つまり、卒業時には「高等学校卒業資格(いわゆる高卒資格)」が得られるのが特徴です。
一方、無認可の通信制スクールやフリースクールは「教育機関」ではあっても「学校教育法上の学校」ではありません。そのため、卒業しても正式な学歴としては扱われず、大学受験資格などを得るには「高卒認定試験(旧・大検)」を受ける必要があります。
2. 通信制高校の設置・認可の法的根拠
通信制高校の設置と運営は、次の法律と規則によって定められています。
- 学校教育法第1条:高等学校を正式な教育機関として定義。
 - 学校教育法施行規則第90条:高等学校の課程を全日制・定時制・通信制に区分。
 - 学校教育法施行規則第92条:通信による授業の方法と条件を規定。
 - 学校教育法施行規則第94条:通信制における面接指導(スクーリング)の義務を明記。
 
これらの規定に基づき、文部科学省(または都道府県教育委員会)は、設置申請を受けた学校の教育内容・教員配置・設備・経営状況などを審査して認可を与えます。
3. 文科省認定の主な条件
通信制高校が文部科学省の認可を得るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ① 教育課程の適正:文科省が定める「高等学校学習指導要領」に基づいた教育課程を編成していること。
 - ② 教員の資格:教員は原則として高等学校教員免許を持つ者であること。非常勤講師も含め、法的資格を有することが求められます。
 - ③ 通信教育の方法:レポート提出、スクーリング、試験の3要素を組み合わせた指導体制を持つこと。
 - ④ スクーリングの実施体制:面接指導を行う施設や日程を適切に確保し、教員による直接指導を行うこと。
 - ⑤ 施設・設備の整備:通信教育用の教材・教室・面接指導会場などが整っていること。
 - ⑥ 経営の安定性:学校法人などの設置主体が健全な財務基盤を持ち、継続的な運営が可能であること。
 
これらの条件を満たしていない場合、文科省は認可を与えません。また、既存校であっても監査により不備が見つかれば、改善指導や認可取り消しが行われることもあります。
4. 通信制高校サポート校との関係
通信制高校の中には、「本校(文科省認可校)」と提携する形で「サポート校」と呼ばれる施設があります。サポート校は、学習支援・進路指導・心理支援などを行う民間機関ですが、法的には学校教育法に基づく“学校”ではありません。
したがって、サポート校単体では卒業資格は得られず、提携している認可通信制高校の単位を修得することで高卒資格が与えられます。入学時には「どの学校法人が認可を受けているか」を確認することが重要です。
5. 認可校を確認する方法
自分が検討している通信制高校が文科省認可校かどうかを確認するには、次の方法があります。
- 文部科学省または都道府県教育委員会の公式サイトで「設置認可校一覧」を確認。
 - 学校のパンフレットや公式サイトで「学校教育法第1条に基づく高等学校」と明記されているか確認。
 - 「卒業時に高等学校卒業資格が得られるか」を学校説明会で直接質問。
 
特に私立通信制高校の場合、サポート校と混同しやすいため、必ず法人名と設置認可番号を確認しましょう。
6. まとめ:文科省認可校=正式な「高等学校」
通信制高校が文部科学省から認可を受けているかどうかは、「高卒資格の有無」を左右する極めて重要なポイントです。認可校は、教育課程・教員・施設・通信教育の仕組みなど、厳しい基準をクリアして設立されています。
入学を検討する際は、学校の特色だけでなく「法的な認可状況」にも注目しましょう。文科省認可校であれば、安心して学び、確実に高卒資格を取得することができます。
  
  
  
  