通信制高校は、全日制よりも自由度が高く、自分のペースで学べる環境が整っています。そのため、過去に学校恐怖症を経験した人にとっては「もう一度挑戦できる場」として選ばれることが多いです。しかし、ふとしたきっかけで学校恐怖症(登校恐怖)がぶり返すこともあります。登校日前に強い不安を感じたり、ログインするだけで動悸がしたり、原因が分からないまま気持ちが沈んでしまう……。そんなとき、どう対応すればいいのでしょうか。
1. 学校恐怖症の「再発」は珍しくない
まず知っておいてほしいのは、再発は「失敗」ではないということです。心の回復には波があり、良い時期と悪い時期を繰り返しながら少しずつ安定していくのが自然な過程です。通信制高校に進んだからといって、過去の不安が完全に消えるわけではありません。環境が変わることで一時的に緊張が高まることもあるのです。
2. ぶり返しのサインを見逃さない
学校恐怖症が再発する前には、いくつかのサインが現れることがあります。
- 登校や面談の前日に強い不安を感じる
 - 身体症状(頭痛・腹痛・吐き気・動悸)が増える
 - 「また失敗するのでは」と思い込みが強くなる
 - 連絡や課題に手がつかなくなる
 
これらのサインに気づいた時点で、「無理をしない」ことが第一です。焦って克服しようとするより、少し距離を取って心を落ち着ける方が、結果的に早く回復につながります。
3. 安心できる環境を整える
不安が高まっているときは、「安心できる環境づくり」が大切です。たとえば:
- 家の中に「安心スペース」をつくる(音楽・アロマ・明るい照明)
 - 登校やログイン時間をずらして、負担を軽減する
 - 信頼できる先生やカウンセラーに、今の状態を伝える
 - 登校時に家族や友人と一緒に行く
 
環境を整えることで、「学校=怖い場所」という無意識のイメージを少しずつ書き換えていくことができます。
4. 不安の正体を言葉にする
学校恐怖症の根底には、「またつらい思いをしたくない」「人に迷惑をかけたくない」といった優しさや責任感が隠れています。紙に書き出したり、信頼できる人に話したりして、「どんなときに不安になるのか」「何が怖いのか」を言葉にしてみましょう。言葉にすることで、不安は“漠然とした敵”から“理解できる対象”へと変化していきます。
5. 専門家のサポートを受ける
不安が続く場合や、日常生活に支障を感じる場合は、スクールカウンセラーやメンタルクリニックのサポートを検討しましょう。通信制高校の多くには、専門の相談窓口が設けられています。医療機関に行くことに抵抗がある場合でも、まずは学校内で相談することから始めて構いません。
6. 保護者ができるサポート
保護者にできる最も大切なことは、「焦らせない」「責めない」「安心を与える」ことです。「また行けなくなってしまったの?」という言葉より、「無理せずに、できることから始めようね」という声かけが効果的です。家庭が安心の拠点であることが、子どもの回復を大きく支えます。
7. まとめ:心の回復は“ゆっくり”でいい
学校恐怖症がぶり返しても、それは「戻った」のではなく、「次の段階に進むための休憩」です。焦らず、一歩ずつ心を整えていけば、再び前に進む力は必ず戻ってきます。通信制高校の学びは、柔軟でありながらも自分を見つめ直す絶好の機会です。
「休むことも学びの一部」——この言葉を胸に、無理をせず、自分のペースで歩んでいきましょう。
  
  
  
  