「高校に通いたいけれど、できるだけ費用を抑えたい」――そんな人にとって、通信制高校と定時制高校はどちらも魅力的な選択肢です。しかし、実際にどのくらいの学費差があるのかを具体的に知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、通信制高校と定時制高校の授業料・教材費・通学費などの費用を比較し、それぞれの特徴と費用を抑えるための制度について詳しく解説します。
1. 通信制高校と定時制高校の基本的な違い
まずは両者の学び方や仕組みを簡単に整理しておきましょう。
| 項目 | 通信制高校 | 定時制高校 | 
|---|---|---|
| 学習スタイル | 自宅学習中心+スクーリング | 夕方・夜間の通学授業 | 
| 登校頻度 | 月1〜数回(学校による) | 週4〜5日 | 
| 学習期間 | 3年以上(自由に調整可) | 3〜4年(基本的に週通学) | 
| 対象 | 働きながら・家庭の事情・不登校経験など多様 | 昼間通えない生徒・社会人・再入学希望者 | 
どちらも「高等学校卒業資格」を取得できる点は同じですが、学習スタイルと通学の負担が異なるため、費用構造にも違いが生まれます。
2. 公立・私立別でみる費用の目安
通信制高校・定時制高校ともに、公立と私立で学費に大きな差があります。以下の表は、おおよその年間費用の目安です。
| 学校種別 | 通信制高校(年間) | 定時制高校(年間) | 
|---|---|---|
| 公立高校 | 約3〜5万円(授業料+教材費) | 約3〜6万円(授業料+通学費) | 
| 私立高校 | 約20〜40万円(授業料+施設費+スクーリング費) | 約15〜30万円(授業料+教材費+設備費) | 
公立ではほぼ同程度の費用で通うことができますが、私立の場合は通信制の方がやや高額になる傾向があります。これは、通信制高校が通信教材・オンラインシステム・個別指導などを導入しているためです。
3. 費用の内訳を比較
通信制高校と定時制高校の費用は、「授業料」以外にも多くの要素で構成されています。以下で内訳を詳しく見ていきましょう。
| 費用項目 | 通信制高校 | 定時制高校 | 
|---|---|---|
| 授業料 | 1単位あたり数百〜数千円(年間25〜35単位程度) | 年間3〜6万円程度(授業日数に応じて) | 
| 教材費 | 約1〜3万円(通信教材・オンライン教材含む) | 約1〜2万円(教科書代など) | 
| スクーリング費 | 年1〜2万円(登校回数による) | なし(通常通学) | 
| 施設設備費 | 私立では数万円〜10万円程度 | ほぼ不要(公立の場合) | 
| 交通費 | 登校回数が少ないため低コスト | 通学頻度が多いため高め | 
通信制高校ではスクーリング費やシステム利用料が発生する一方、通学の負担が少ないため交通費は抑えられます。定時制高校は登校頻度が高い分、交通費や通学時間の負担が大きくなります。
4. 学費を安く抑えるための支援制度
どちらの学校に通う場合も、国や自治体の就学支援制度を利用することで負担を大幅に軽減できます。
- 高等学校等就学支援金制度:世帯収入に応じて授業料を国が負担(年収910万円未満の世帯が対象)。
 - 奨学金制度:日本学生支援機構(JASSO)や自治体の奨学金を利用可能。
 - 自治体の補助金:一部地域では通信制高校在籍者に教材費や交通費の助成を実施。
 
特に公立通信制高校の場合、授業料が就学支援金で全額カバーされるケースも多く、年間の実質負担は数千円〜1万円程度で済むこともあります。
5. 費用面から見たそれぞれの特徴
通信制高校の特徴
- 通学日数が少ないため、交通費・生活費を抑えられる。
 - オンライン授業・個別指導などサービス内容によって費用差が大きい。
 - アルバイトや仕事と両立しやすく、経済的にも柔軟。
 
定時制高校の特徴
- 授業料が安く、費用を最も抑えられる。
 - 夜間授業のため日中に働けるが、通学費がかさみやすい。
 - 公立中心のため、入学時期や地域によって選択肢が限られる。
 
6. 費用以外に考慮すべきポイント
費用だけで学校を選ぶのではなく、自分のライフスタイルや目標に合うかどうかも重要です。
- 通信制高校:自分のペースで学びたい人・働きながら卒業したい人に向く。
 - 定時制高校:学校生活のリズムを保ちたい人・対面授業を希望する人に向く。
 
また、通信制高校にはサポート校を併設している場合があり、進学指導やメンタル面の支援が充実しているケースもあります。その分、費用はやや高くなる傾向があります。
7. まとめ
通信制高校と定時制高校の費用を比較すると、公立なら大きな差はなく、私立通信制の方がやや高めという傾向があります。しかし、通信制高校は自由度が高く、働きながら学べるなど経済的メリットもあります。
どちらを選ぶにしても、就学支援金や奨学金制度を活用すれば、学費の負担を大幅に減らすことが可能です。自分の生活スタイル・進路目標・サポート体制を踏まえて、無理のない選択をすることが大切です。
  
  
  
  