通信制高校からの大学進学で苦労したこととは?

通信制高校から大学進学を目指す人は年々増えています。自由な時間を活かして早くから進学準備に取り組める一方で、環境やサポート体制の違いから苦労することも少なくありません。ここでは、実際に通信制高校から大学進学を目指した生徒が経験した“壁”と、それを乗り越えるための工夫を紹介します。

1. 学習リズムを整えるのが難しい

通信制高校では、自宅での自主学習が中心となるため、学習ペースを維持するのが最大の課題です。進学を意識していても、日々のレポート提出やアルバイトとの両立に追われ、受験勉強のリズムが崩れがちになります。

特に、指定校推薦や一般入試を狙う場合は、基礎学力の定着と長期的な学習計画が必要です。しかし、教員との接触機会が限られている通信制高校では、スケジュール管理を自分で行う力が求められます。

対策:1日の学習時間を「通学制の授業時間(約5〜6時間)」に見立て、学習計画表を作成することが効果的です。オンライン学習アプリやタイマーを活用して学習習慣を可視化すると、自己管理がしやすくなります。

2. 情報収集の難しさ

通信制高校では、進路指導の時間や受験説明会の機会が少ない場合があります。そのため、「どの大学が通信制出身者を受け入れているのか」「推薦入試の条件を満たせるのか」といった情報を自分で調べる必要があります。

また、進学情報サイトでは通学制高校向けの情報が中心で、通信制特有の事例が少ないことも課題です。結果として、情報格差が生まれやすく、出願時に不利になってしまうこともあります。

対策:大学のオープンキャンパスやオンライン説明会を活用し、自分で直接問い合わせるのが最も確実です。通信制高校でも、進路相談員が常駐している場合は積極的に相談し、推薦枠やAO入試の活用可能性を確認しておきましょう。

3. 面接・志望理由書でのアピールに苦労する

通信制高校出身者は、面接や志望理由書で「なぜ通信制を選んだのか」「その経験をどう大学で活かすのか」を問われることがあります。これに戸惑う生徒は多く、「どう答えれば印象が悪くならないか」と悩むケースも少なくありません。

しかし、通信制で培った「自立性」「計画性」「自己管理力」は大学が高く評価するポイントでもあります。大切なのは、通信制を選んだ経緯を前向きに語り、自分の学びの姿勢を具体的に伝えることです。

対策:「通信制高校で得た経験」を軸にストーリーを作りましょう。例:「自分のペースで学ぶことで、自律的に勉強する力が身についた」「多様な生徒と関わる中で柔軟な考え方を学んだ」など、自分の成長を中心に語ると効果的です。

4. 受験対策の孤独と不安

通信制高校では、クラスメイトと一緒に受験勉強をする機会が少ないため、孤独を感じやすい傾向があります。模試や受験情報の共有がないと、「自分だけが遅れているのでは」と焦ることもあります。

対策:独学が難しい場合は、オンライン予備校や個別指導塾の併用を検討しましょう。また、SNSや通信制高校のコミュニティを通じて「同じ立場の仲間」とつながることも、モチベーション維持に役立ちます。

5. 経済的・時間的な負担

通信制高校は学費が比較的安い一方で、受験費用・教材費・塾代などが自己負担となることが多く、家庭状況によっては経済的な壁を感じることもあります。アルバイトをしながら受験勉強をする生徒も多く、時間のやりくりが難しいという声もあります。

対策:奨学金制度や自治体の支援金を早めに調べ、無理のない範囲で受験準備を進めることが大切です。文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」なども活用できます。

6. まとめ:通信制高校からの進学は「自立」が鍵

通信制高校から大学進学を目指すうえでの最大の課題は、「情報」と「自己管理」の2つです。通学制のような一斉サポートが少ない分、自分で調べ、考え、行動する力が求められます。

しかし、これらの苦労を乗り越えた経験こそが、大学進学後に大きな強みとなります。通信制高校で培った柔軟性と自主性を武器に、自分らしい進路を切り拓いていきましょう。

進学はゴールではなく新しいスタートです。通信制高校での学びを自信に変えて、次のステージへ踏み出してください。